塾生の青柳です。

 大谷翔平のロサンゼルス・エンゼルス入団が決まりましたね。がんばってほしいなぁ。試合のないこの季節、野球ファンは選手達の契約更改や移籍などの情報がもっぱらの楽しみである。いわゆるストーブリーグってやつだ。

 我らが読売ジャイアンツは、今シーズンは4位、まさかのBクラスという悔しい結果に終わった。来季は若手に切り替えるとのことで、高橋監督のもと、秋季キャンプでは若い選手たちが1日1,500スイングをノルマとして打撃練習に励んだらしい。バットを振りっぱなしの鬼メニューに、体が攣る選手が続出したというニュースは記憶に新しい。それくらいで攣ってしまうなんてだらしない、だから巨人はBクラスなんだ、などという声も聞かれた。確かに、攣るってなんとなく運動不足が原因のイメージがある。しかし彼らは仮にもアスリート。運動不足ということはなかろう。そもそも「攣る」とは何なのか。

 「攣る」とは、同じ動作や姿勢を継続することにより一部の筋肉に収縮が生じ続け、もうそれ以上縮まらない、というところまで到達したときに起きる現象である。1,500回もひらすらバットを振り続ければ、同じ筋肉において同じ運動が繰り返されるわけだから、収縮しまくっているのは当然である。筋肉にしてみれば、「もう無理ンゴ…これ以上縮まらん。助けてクレメンス。せや!攣って知らせたろwww」という気持ちに違いないのだ(筋肉、まさかのなんJ民)。ふざけてすみません。そして真面目な話、攣ってしまったのは過酷な運動量をこなした証拠だ。だらしないわけじゃないぞ!

 では、実際にどこが攣ったのだろう。重信選手が攣った個所を掲載した記事が見つかった。左足の太腿裏、両内転筋、背中、右前腕、左の上腕二頭筋の計5か所だそうだ。さっそく、プラスチックバットを持ってバッティングの動作を行い、自分の体で筋肉が収縮するか試してみた。(※重信選手は左打者です、そして私は野球未経験です。)

 まず、すぐに筋肉の収縮を実感したのは左足の太腿裏。野球のバッティングの動きでは、構えから振りぬくまで常に両方の膝関節が屈曲している。膝関節の屈曲には太腿裏にある大腿二頭筋、半腱様筋、半膜様筋の収縮が必要である。特に、ボールを引き付けながら重心を軸足(左打者の場合は左足)に移動させるため、左の太腿裏が攣ったものと推測する。

 次に、左の上腕二頭筋。バットを持っている両腕には肘関節の屈曲が生じている。さらに左打者であれば左腕のほうがより屈曲する。また、バッティングではインパクトの瞬間に左打者であれば左手首を水平に返す。上腕二頭筋の機能には、上腕の屈曲のほかに前腕の回外がある。この動きの際に生じる収縮により、左の上腕二頭筋が攣ったものと考察する。

 そして、背中。構えの時点では、広背筋はむしろ若干伸展している。しかし、振りぬいた後は背中を反らす姿勢になる。この際の広背筋の収縮により、攣りが生じたと思われる。(のけ反るようなフルスイングといえば、ソフトバンクホークスの柳田選手です。画像を張りたかったけど肖像権云々がありそうなので断念しました…。)

 で、問題の右前腕。前腕ということは、手首の屈曲あるいは伸展において収縮が生じるはずだが、左打者の右手首…一体どのタイミングで屈曲または伸展しているだろうか。私が考えたのは、インパクト時の右手首の伸展である。そして同時に、ボールの衝撃に耐えるためグリップに力を込める、等尺性収縮が起きているのではないかと考えた。(これ、素振りだと気づくのに時間がかかりました。)

 最後に大問題の両内転筋。内転筋の機能は、股関節の内転である。え?バッティングフォームで股関節が内転するときある?????誰かぁ!分かる方がいらっしゃったら教えてください!!

 なんとも不完全燃焼に終わった私の考察であるが、よく言われるように、ピッチングもバッティングも身体運動が精密機械のように機能し合って素晴らしい投球や打撃を生むわけで、考察に出てきた筋肉も記述した以上の機能を生じさせているに違いない。来シーズンは、そんな視点も持って観戦してみようと思う。重信君、来季はがんばってくれよ!

 では締めに、攣った筋肉に向けて川柳。

 助けてと ちゃんと言えた君はえらい

良くできました