塾生の青柳です。
 いきなり何のカミングアウトかとギョッとされた方もいらっしゃるかと思いますが(いないと思いますが)、勿論、破廉恥なお話ではゴザイマセン。寝具の一つである枕を使用して寝るのをやめたという話。

 事の発端は、ある筆記試験を受けたところ猛烈に首が痛くなったことから。頸部の屈曲に際して働くのは、胸鎖乳突筋、前斜角筋、頭長筋、頸長筋など。長時間下を向いて試験問題を解いていたため、これらの筋肉が縮こまってしまったものと思われる。胸鎖乳突筋と言えば、これが縮こまると頬の肉を引っ張ってたるませ、法令線を深くしてしまうと私が信じている筋肉である。これは大変。家に帰って入念にストレッチしたところ、痛みはほとんどなくなった。ところが、翌朝目が覚めたら、前日にも増して首が痛む。なぜなのか。この話を講座の時にしたところ、伊藤先生から、「枕してませんか?してるなら、やめたほうがいいですよ」とアドバイスをいただいたのである。

 そもそも、人体にとって寝るときに枕など要らないらしい。頭部を支える頸椎、胸椎、腰椎は絶妙なカーブを描いているが、これは人類が二足歩行を叶えるために、重力に逆らって骨が積み重なった結果できあがったものであり、仰臥位においてまでこの曲線をキープする必要はないということだ。言われてみれば確かに、仰臥位でもカーブを保たねばならないのであれば進化の過程でそうするべく何か別の発達が生じたかもしれないし、あるいは睡眠において仰臥位を取らなくてもよい進化の仕方をしたかもしれない。逆に枕によって頭部が持ち上げられれば頸部が屈曲するため、上記の屈筋が縮こまり、首が痛いということにもなりかねないのだ。

 早速その夜から、枕をしないで寝てみた。しかし、不安である。枕をしないで寝たことなどない。ちゃんと眠れるかしら。心配をよそに、思いのほかすぐに寝つけた。目覚めの際に体も痛まない。さらに良いことに、寝返りを打った際に枕の位置が気になって直したりする必要もないのだ。また、髪の長い人なら共感いただけると思うが、枕の形に沿った寝癖がつかなくなったのである。良いことだらけではありませんか!

 調子に乗った私は、0度の姿勢で寝ることを試してみた。ところが、これができない。枕をやめることに比べたらこっちの方が簡単だろう、と思っていたがそうでもないのである。手のひらを天井に向けることが難しいのでしょう、と思った方、いらっしゃいますね。違うのです。そんな高度なところにまで辿り着けておりません。実は、私は幼少のころから寝るときは必ず、お腹に両手を乗せて寝ている。これは、胃腸が弱くて痛くなることが頻繁にある私にとって、「お腹が痛くなりませんように」という、オリジナルのおまじないのようなものなのである。「手当て」の語源は痛む場所に手を当てることから来ているというが、手の温もりでお腹を冷やさないようにしているという点では事前の手当てであり、オリジナルなりに理に適ってもいる。これをすれば安心して眠れるが、逆に、していないと「お腹が痛くなるかもしれない」というある種の強迫観念によって不安になってしまう。眠っている間にどうせ手は腹部から離れてしまうし、手を置いていようがいまいが痛くなるときはなると頭では分かっていても、なんだか落ち着かないのである。

 体には、「楽だから」している姿勢がある一方で、何らかの精神的な理由からそうしている姿勢もある。後者の方が、直すのは難しい。良い姿勢にしようと神経質になり過ぎて、眠れなくなるのも本末転倒だ。0度の姿勢で寝るのは一旦中止!

 では、お布団大好き川柳。

 眠れない夜も布団は暖かい


よく出来ました