塾生の青柳です。
 肩甲骨の理想の位置、ご存知でしょうか?下角の位置が、第7胸椎の高さ、そして耳の延長線上指2本分くらい外側にあるのが理想だそうです。でも多くの人が、もっと外側にあるそうです。理想の位置より肩甲骨が外側にある人が多い理由は、人間の目が前にしかないからだと、私は思うのです。話が飛躍しすぎましたので、もう少し詳しくご説明します。
 肩甲骨が外側にあるということは、肩甲骨が外転しているということです。そういう人は、肩関節に内旋も生じているでしょう。肩関節がきれいに0度になっている人なんてそうそういません。なぜ、肩甲骨が外転し、肩関節が内旋してしまうのでしょうか。日常生活のあらゆる動きを想像してみると、その理由が分かると思います。まずは、家事。炊事、洗濯、掃除、裁縫などなど、だいたい自分の目で見えるところで手を動かします。仕事でも、デスクワークであろうとなかろうと、お医者さんも大工さんも整体師も、何かの作業はだいたい体の前で行うものです。本を読むときも、スマホをいじるときも、ゲームをやるときも、パチンコも麻雀も、肩甲骨を内転させて行う人などいないのです。目に見えるところで手を動かしたいから、肩甲骨外転の動作が多くなってしまうわけです。

 肩甲骨外転の動作が多いということは、そのための筋が縮こまり、反対に内転の筋が伸びていることになります。従って、ストレッチした方がよいのは肩甲骨外転の筋である前鋸筋、小胸筋です。肩甲骨内転の筋である菱形筋や僧帽筋(中部)は伸ばさないほうがよいのです。ちなみに菱形筋は、第7頸椎と第1~5胸椎の棘突起で起始し、肩甲骨の内側縁で停止します。僧帽筋(中部)は同じく第7頸椎と、第1~3胸椎の棘突起で起始し、肩峰内側縁と肩甲棘上縁で停止します。これはあくまで私の感覚ですが、脊柱と肩甲骨を結ぶ菱形筋は、外転の際にどこまでも外転してしまわないように踏ん張り、肩甲骨の上部にベタッと乗っている僧帽筋(中部)が内転の際にぐいっと引き寄せているような感じがします。

 ところで、下のイラストをご覧ください。このイラストの女性は、肩甲骨を思いっきり外転させて菱形筋を伸ばしているところです。かれこれ10年くらい前になりますが、当時の職場で、毎日15時にVDT症候群防止のためにストレッチなどの軽い体操をする時間が設けられました。皆、思い思いに体を動かしていましたが、ほぼ全員が、自分のPCの前でこのイラストと同じストレッチをやっていました…。はい、漏れなく私もです。長時間のデスクワークで伸びきった菱形筋を皆でさらに伸ばしているなんて、目を覆いたくなるような光景です。でもですよ、このストレッチ、超ポピュラーじゃないですか??そりゃ、よく知らなければやっちゃいますよ。だって子供のころ、習ったんですから。え?習った?いつ?

 私は、遠い遠い過去の記憶を手繰り寄せ、ついに思い出したのです。いつ、このストレッチを習ったのか。それは、体育の、プールの授業だったのではないかと思うのです。水泳の動きを思い起こすと、クロール、背泳ぎ、平泳ぎ、バタフライ、どれを取っても水を掻く際に肩甲骨の内転が生じます。平泳ぎなんか、これでもかというくらい菱形筋を縮ませますよね。水泳の選手は、菱形筋が発達して肩甲骨をもりっと押し上げています。そう言われてみれば、水泳選手が飛び込み台の上で、よく、あのストレッチをしている気がしてくるのです。そして水泳選手ではない私たちは、水泳の授業で習ったストレッチだけはなぜか続けてしまっていたのです。もちろん、水泳選手でなくても、普段から胸を張り出すような姿勢をしている人などは菱形筋のストレッチが効果的です。ただ闇雲に体を伸ばすのではなく、自分の体の筋がどうなっているのかをよく知ったうえで伸ばすべき個所を伸ばす必要があるということですね。

ちなみに、いらすとやのこのイラスト、「ストレッチ」で検索してヒットしたのですが、イラストの題名自体は「準備運動のイラスト(肩)」でした。やっぱりいらすとやさんは流石、わかってますねぇ。

締めの一句。

文体を 淑女たるべく 変えてみる



junbiundou_kata



よく出来ました