塾生の青柳です。
まだまだ収縮の話は続くのです。しつこいでしょう。
前回の腕立て伏せの話で、短縮性収縮と伸張性収縮について書きました。しかし、収縮を感じるための例として禁断の腕立て伏せだけを挙げていたのでは、怒られてしまいそうです。そこで、わざわざそんな禁忌を侵さずとも感じられる短縮性収縮と伸張性収縮を挙げたいと思います。階段の上り下りです。

階段を上る時、まず、一段上に踏み出した脚の膝関節は屈曲しています。仮に、これが右脚だとしましょう。そして、体重を前方へ移動、つまり体重を右脚に乗せます。と同時に、曲がっていた右膝をまっすぐに伸ばします。これで階段を一段上がったことになりますが、このとき、右の大腿四頭筋は上半身の体重を支えつつ重力に逆らって短縮性収縮が行われています。次に階段を下りるとき、一段下に足を踏み出そうとして着地するまでの間、後ろの脚の膝関節は屈曲しています。仮に、後ろの脚を左脚だとしましょう。左脚は、右脚が一段下に着地できる位置まで、どんどん屈曲を続けます。このとき、左の大腿四頭筋は上半身の体重を支えつつ、前脚(右脚)が重力につられて落ちて行ってしまいそうになることで重心の均衡が崩れることを防ぎながら、伸張性収縮をしています。短縮性収縮と伸張性収縮では、伸張性収縮の方がより負担がかかります。従って、階段の上り下りにおいては、下りることの方が大変なのです。


ところで、かつて会社勤めをしていたとき、オフィスのビルのエレベーターが停止しており、仕方なく19階から地下1階まで階段で下りたことがありました。その日の私は、9cmヒールのロングブーツを履いていたことも手伝って、すべて下りきるころには大腿四頭筋がプルプルしていました。日頃の運動不足も原因でしょう。ところで、階段を下りる、ということは運動をしているということになります。前々回の投稿で、ポージングをしていた際に大腿四頭筋がプルプルしたことを書きましたが、それは収縮しっぱなしであったために筋ポンプが行われなかったことが原因でした。しかし、階段を下りる際の大腿四頭筋は、収縮と弛緩を繰り返していたはずで、筋ポンプは行われていたのに、なぜプルプルしてしまったのでしょうか。理屈は伸長性収縮の継続による痙攣と同じで、酸素の供給不足です。ただし、この場合は運動が行われていたため、供給が止まってしまっていたのではなく、供給される以上の酸素が必要な収縮が行われていた、ということになります。階段を下りる際の大腿四頭筋は、伸張性収縮と弛緩を繰り返します。伸張性収縮は、等尺性収縮よりも負担がかかるのです。(ちなみに、伸張性収縮>等尺性収縮>短縮性収縮の順で負担がかかります。)また、日頃の運動不足、というのは酸素供給が円滑に行われないことを助けます。筋ポンプが行われていない個所が体のあちこちにあり、血行が悪くなっているからです。きちんと日頃から適度な運動をしている人は、私ほど容易にプルプルしたりしないでしょう。

川柳を書いてる余裕はなかったぜ


良くできました