塾生のキムラです。今回は手力整体で最も基本的な部分にあたる「姿勢」と「体をよく見る」ということについてです。

一般の人に「正しい姿勢はどんなもの?」ということを聞くとほとんどの人が「背筋がスッと伸びた状態」と答えるのではないでしょうか。私も人体について勉強するまではそう思っていましたし、姿勢を正す時は背筋を伸ばすことをしていました。

しかし実際にはそれだけでは不十分です。正しい姿勢というのは背筋だけで決まるのではなく、上丹田(頭蓋の中心)、中丹田(胸椎7番あたり)、下丹田(脊柱と仙骨の境目)の位置によって決まります。これら三つの丹田が、真っ直ぐに身体にかかる重力に対して、一直線になっている状態が正しい姿勢となります。

という、授業でも公式ブログでもなんども触れられているこの基本的なことを、私は最も身近なところで見落としていました。それは、妻の姿勢です。

先日の授業で「立ち仕事をしていて姿勢もいい妻の慢性的な腰痛が手技でとれない」という話をしていたのですが、改めてよく観察すると、骨盤が前傾気味の反り腰、つまり腰椎が伸展していました。

妻は小さい頃に日本舞踊をやっていたせいか、立ち方や所作を見ると、いわゆる「姿勢が悪い」人には見えません。身長は153センチと小さいながらも、同じ身長の人よりも大きく見られるような堂々とした立ち方をしていて、むしろ私の方がもともと猫背気味だったこともあり、常々「ちゃんと背筋伸ばしなさいよ」と十数年の間言われ続けていました。

そのイメージもあってか、こと姿勢に関しては「なんとなく」良いものだと思い込んでいました。身近すぎるゆえ「見る」ことをないがしろにしてしまう。これが大きな落とし穴でした。

先日、てぢから村の方のスレッドで、卒業生にちょっとした相談をさせてもらったのですが、そこでもやはり「ちゃんと身体を見るのに加えて、話を聞くといい」というアドバイスをいただき、なるほど!と思うと同時に妻の身体を見て、そして実際にどんな痛みを感じるか、どんな時に痛みを感じるかという話をしたところ、なんてことはない、腰椎の伸展というところに落ち着きました。

妻は気の強い性格で、その性格が姿勢にも出ているのか、胸を張って(むしろ張りすぎて)いる立ち姿です。有り体に言ってしまえば、ふんぞり返ってなんだかエラそうな立ち姿です(笑)

それが数十年と続き、しかも立ち仕事をしていることもあり、深刻ではないものの慢性的な痛みにつながっていると考えられます。これを改善するには、施術どうこう以前に、正しい姿勢を取り戻してもらうのが一番です。

が。

ここで問題になるのは、気が強くプライドが高い妻に「あなたの姿勢は、実は良くありません」ということを伝えるハードルの高さです。本人は正しい姿勢だと思っているので、頭ごなしに「良くないよ」というと、家庭環境が微妙な空気になることは想像に難くありません。

そんなわけで私は、正しい丹田の位置を伝えた上で「良い姿勢が行きすぎちゃって、腰に負担がかかっちゃってるから、少し戻しましょうね」という、なんともまろやかな感じで伝えることにしました。

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相手の性格に合わせて言い方を変えることも、整体には大事なことですよね!という話でした。


良くできました