塾生の小野寺道枝です。

「痛み」とは

前回の「コリとは」で、凝り(縮み)があると、それに対して引き伸ばされた筋肉が伸ばされながら身体を支えることで「痛み」が出る…すなわち「凝る部位」と「痛みが出る部位」は違うということを説明しました。

今回はその「痛み」の出る部位には何が起こり、なぜそれを「痛み」と感じているのかを考えてみたいと思います。

前回、凝りは縮んで伸び縮みができず使えなくなっている筋肉だといいましたが、実は引き伸ばされた筋肉も同じように伸び縮みができなくなっているので、どちらも筋肉のポンプ作用によって促される血流は低下し、血液が運んでくる酸素が不足するので、筋肉は「酸欠」状態になっています。そして、必要な酸素を得られないということが身体の危機として脳に伝わると、脳はその警告を「痛み」と感じるのです。つまり「痛み」とは身体の危機を知らせる警告を脳で感じとったものなのです。
         
                     

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ところが、同じように「酸欠」になっていても、痛みを感じるのは「引き伸ばされた筋肉」だけなのは何故でしょう?それは、凝っている筋肉は縮んで使えなくなっているため力を出していないのに対し、引き伸ばされた筋肉は、酸欠状態で力を出しているために痛みを感じると考えられます。

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身体の危機を救うには

痛みで警告を感じとったら対処しなくてはなりませんが、ここで「コリとは」でお話したことを思い出してほしいのです。整体の施術では「痛みが出る部位」ではなく「凝りのある部位」をほぐして痛みを改善するのでした。ということは、この警告を単純に「痛み信号を出している部位をどうにかしてください」ととらえるのではなく「痛み信号が出ている原因を改善してください」ととらえるべきであり、その原因となっている凝りを見つけて対処することが「身体の危機」を救うことになるわけです。

首・肩こりを例にとってみましょう。姿勢の崩れによってバランスをとるために頭が前に出ている、もしくは、スマホやパソコンのやりすぎでいつも首を前に伸ばしていると首や肩に痛みが出ます。
痛みを訴えるのは首の後ろや肩周囲がほとんどです。図を見てわかるように、ここは引き伸ばされながら力を出している部位なので、「酸欠」になり痛みの警告が出ているのですが、その警告は、前述したように「痛み信号を出している部位をどうにかしてください」ではなく「痛み信号が出ている原因を改善してください」ととらえるので、この場合は首の後ろや肩周囲をほぐすのではなく、それらが痛みを感じる原因となっている凝りのある首の前側の筋肉をほぐすことで、痛みを改善します。


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「痛み」が出てもあわてずに!

さて、筋肉由来の痛みが「酸欠」の警告であるとわかったなら、痛みが出てもあわてずに凝りを見つけて酸欠を解消してみてはいかがでしょう?

筋肉に酸素を送るには血流を促すことですから、運動・揉みほぐし・温めるなどがよいでしょう。

また、痛みに対する不安やストレスが交感神経や運動神経を刺激することで、筋肉・血管を緊張させ血流が低下し、更なる「痛み」につながることがありますが、痛みがあっても自分で対処法を知っていると不安が解消されこのような悪循環を回避できますね。

 

よく出来ました