1. 痛みと施術

 痛みは脳での認識とほぼ同時に体感される感覚で、人にとって不快な感覚です。痛みには必ず刺激となる何らかの原因があり、原因を取り除かない限り痛みは消えません。明らかな外傷性以外、身体の内からか、外からか?いつから?動きに関係するか?熱を持っているか?思い当たる原因は?など痛みを判断する事は施術を行う上で重要です。激しい炎症、内臓疾患系の痛みと思われる場合、施術はできません。

 2.痛みのメカニズム

人は血管を通して全身に痛みの受容体を持っています。血管壁には痛みの刺激・興奮を伝える痛覚伝道ニューロンの感覚神経線維と交感神経線維群が密にからまり、痛みの多くは身体のどこかの組織、骨格筋に損傷が起こると、その刺激が順次、脳に伝わり認識される事で痛みを感じます。

しかし中には脳に達する前に、痛みに対していち早く防御動作を行う事があります。これは、これまでに経験し、記憶された痛みに対する神経反射から起こります。痛みは早急に対処が必要な感覚であり、人に危険が迫っている事を知らせるサインです。痛みに対する受け取り方は個人差が大きいですが、防御・防衛の反応は誰も同じく筋肉が緊張し、硬くなり、身構える、小さく丸くなる、又は動けない、という動作になります。痛みで動け

なくなる事は、感覚から身体につながる本能的動作の防御反応です。痛みは脳と連動した身体からの警告サインなのです。

 

3.筋肉の痛み

筋肉は骨や関節に付着し、働きや役割により、重要な箇所は靭帯や腱で繋がれ、あらゆる動きに対応するために協働、または拮抗し合い滑らかに動いています。筋肉の動きには血管から供給される酸素が不可欠で、運動する事で筋はポンプされ、血流が良く流れます。またよく動く筋肉は毛細血管が発達していきます。一方普段動かせていない筋肉はポンプ不足からの酸素不足となります。つまり「運動不足=酸素不足=血流不足」という事です。しかし動かせていない筋肉を急激に動かす事は、筋肉繊維や結合組織を傷つけ炎症を起こし筋肉痛の原因となります。

筋肉痛のメカニズムは明確に解明されていませんが、急性筋肉痛は筋肉の緊張状態が続く血流不足で運動中から感じられます。一方、時間を置いて感じる遅発性筋肉痛は筋肉が伸ばされながら力を発揮した時に良く起こります。私は山歩を始めた頃、ハムストリングの筋肉痛を初めに感じ、さらに痛みも長引きました。縮んでいた屈筋のハムストリングを伸ばす事で一番負荷がかかったためだと思います。回数を重ねる程に痛みは無くなり、全体的に筋肉の柔軟性、運動性、血流が増加したと思います。

4.コリを探る・見つける

筋肉は良く動く事で血流良く柔軟性が保たれます。しかし400600近くある全ての筋肉をバランスよく動かすことは難しく、年を重ねると各々身体の使い方にクセが出てきます。それは姿勢の左右差、偏りを生じますが、痛みが生じなければ身体は脳と連動して上手くやってくれます。効率の良い動きの為によく使われている筋は酷使される筋、つまり力を発揮し続けている筋の事で、ガッチリ固められ長時間耐えられる筋となっていきます。伸ばされ、又は縮められた血流不足から徐々に痛みの症状が出てきます。しかし筋肉は全身的に繋がり合い、影響し合っています。筋肉の緊張、硬さの影響は隣り合う筋だけではありません。酷使される筋があれば、されない筋が存在します。離れた拮抗筋、身体の左右対称、前後、上下肢の相互に対応した筋があります。ここも同じく常に血流不足で筋肉の疲労物質が少しずつ溜まり、水分不足などの影響でコリとなる硬結が発生します。ゆっくり作られたコリから表面的な痛みを感じる事はありませんが、圧痛があり、これが大元となる緩めるべきターゲットの筋となります。何かの動作後、ふとした時、ひっかかる動きを感じた時、痛みを感じた箇所をじっくり感じ、大元の筋を探り、見つける事が大切です。

 5.筋肉のケア

筋肉はどこかの筋が24時間働いています。筋の血流不足解消のため、よく身体を使う事が一番です。また身体からのサインに気づこうと意識する、自分のクセを知る事が大切です。普段の動きと反対の動作、深い深呼吸など空いた時間でできる事から始めましょう。寝る前と目覚めた時に身体を動かすことは、自分の体調を知るいいタイミングです。



良くできました