塾生の渡辺です。


整体を学んでから、道ゆく人の歩き方に目がいくようになりました。

先日、駅の階段で、目の前を登る女性の足がすごく気になりました。
 

「どうやって登ってるんだ??どんな足運びなのそれ!??」

いつ踏み外して転がり落ちてくるかと心配になるほど、
彼女はかなりの内股でした。

階段を登り切る間しか観察できませんでしたが、膝から下を外側にぶん回すように登っていました。
 

講座で説明された、内股の人の歩き方を思い出しました。

内股のまま足を前に出そうとすると、前に出す足が後ろに引く足にぶつかり、自分の足につまづくことになります。それを回避するために足を外側に回して歩く、というものでした。

それを目の当たりにしたんだと思います。


呼び止めて録画させてもらうという妄想をした時、もし呼び止めたとして、彼女の足に起きていることを私は説明できるんだろうか、と思いました。

その時の語彙力では「あなためっちゃ内股ですよ。なんか、あの・・・とにかく良くないですよ」としか言えない想像しかできなかったので


なのでこの記事では、あの日の彼女に説明する気持ちで「内股」についてまとめていこうと思います。




■内股はなぜ起こるのか

内股にも種類があります。

股関節から内側に向かう回旋がかかっているパターンと、膝下から内側に向かう回旋がかかっているパターンです。前者はO脚、後者はX脚/XO脚になりやすそうです。




①股関節から回旋しているパターン

これを真似してみると、バランスを取るために自然とお腹が突き出されました。

骨盤後傾の立ち姿勢です。

お腹を突き出して立つこの姿勢は、講義の中で何度も「筋肉を使わない楽な姿勢」と聞いてきました。


楽ならいいじゃん、と一瞬思いますが、楽な姿勢をとり続けると特定の筋肉に負荷がかかり続けることになります。そこからコリが生まれ、姿勢が崩れる原因になります。


この姿勢が楽な理由をまとめます。


<内股は股関節の可動域が狭くなる>

股関節は球体関節です。あらゆる方向に動かせる自由な関節ですが、ツルツル滑るためそのままでは静止できません。だから股関節の動きを止めたい時は周りの筋肉が頑張ってストッパーになる必要があります。筋肉をたくさん使うことになります。だから、ただ立つだけとはいえ疲れます。

それが内股にするとどうでしょう。人体の構造上、大腿骨頭と股関節のはまり方が深くなり、股関節の可動域が狭まります。


<お腹突き出しは靭帯に頼った姿勢>

股関節は球体関節なので、筋肉がないとグラグラと安定しない構造です。でも支えているのは筋肉ばかりではありません。それが、骨と骨をつなぐ靭帯です。特に股関節には強い靭帯があります。お腹を突き出してめいっぱい股関節を伸展させると、これ以上伸びずに止まるポイントがあります。こうなると完全に靭帯に寄りかかっている状態です。筋肉に頼らずとも靭帯に体重を預けて立てる姿勢。それがお腹突き出しのポーズです。


股関節の動きを内股でロックして、靭帯を使って立つ。

筋肉を使わない最高に楽な姿勢のできあがりです。




②膝下から回旋してるパターン

膝を閉じようとする力と、内股にすることで外にかかる力がぶつかって変形した形です。

筋肉のつき方が偏る→姿勢の崩れが習慣化→姿勢に合わせて骨が変形した、という流れなんじゃないかなと思います。

前述のお腹突き出し方と異なり膝は閉じているため、左右の足の距離が近い。だからそのまま歩くと自分の足につまづくため、引いた足を前に出す時、外に振るように回して踏み出す。

冒頭で会った階段の彼女は、この歩き方だったんだなぁと思いました。




先生曰く、内股は日本人に多い姿勢なんだそうです。

推測ですが、日本人にとって内股は「女性らしくて可愛いポーズ」という認識が強いからだと思います。日本はアニメ文化が盛んなことも影響してるんでしょうか。女性キャラクターの立ち絵を見れば分かりますが、これ以上は無理ってくらい内股で描かれていることが多いです。初音ミクとかそうですね。あれが「kawaii」なんです。




かくいう私も内股ぎみの傾向、そしてお腹突き出しの立ち姿勢になりつつあるようです。

だからこのところ、つま先を開いて股関節を外旋させつつ、内転させて歩く歩法を実践継続中です。
 

最初はまったくまっすぐ歩けなくて、いかに股関節を固定する筋肉が使えていないか実感しました。

自分ではかなりつま先を外に向けているつもりでも、確認してみると大して外旋できてません。
 

他人の心配をする前にまず自分の体の崩れをどうにかしないと説得力がないので、今日も縫工筋の抵抗を感じながら、日々、姿勢の改善を試みています。


良くできました